薬剤師

【薬剤師の転職事情】病院薬剤師と薬局薬剤師、比較してみた!働き方の違い、メリットは?

こんにちは、薬剤師ライター 小野ちなつ(@darenaniwrite)です。
わたしは現在、調剤薬局で薬剤師として働いています。実は新卒で入った企業を4ヶ月で辞め、今の薬局へ転職しました。

「薬剤師」って意外と仕事の幅が広い…!就活のときもだいぶ悩みました。薬局薬剤師、病院薬剤師だけでなく、製薬企業、公務員などもあります。その中でも多くの人が悩むのは、薬局薬剤師になろうか病院薬剤師になろうかという選択なのではないでしょうか。わたし自身も、就活のときはもちろん転職する際にもすごく迷いました。

今回はそんなわたしが最終的に薬局薬剤師を選んだ理由も含め、病院薬剤師と薬局薬剤師の働き方の違い、それぞれのメリット、デメリットを紹介したいと思います。

薬剤師の働き方は幅広い

薬剤師の仕事って、調べてみると本当に幅広い。薬を渡す薬剤師の仕事だけでなく、公務員、保健所、企業での働き方もあって。また、学生の就活の時に考える薬剤師の世界と実際に社会人として働き始めて見えてくる薬剤師の世界は全くの別物です。今回は、企業から転職し、実際に薬局で働き始めたわたし目線での薬局薬剤師と病院薬剤師の違いを紹介します。

薬局薬剤師の業務内容

いわゆる、町の中にある薬局で働く薬剤師さん。一番イメージしやすい薬剤師像だと思います。主な仕事は処方せんの監査、調剤、服薬指導です。

処方せんの内容を監査する

処方せんの内容に間違いがないかを確認します。この時点で、薬の用量などに疑問があった場合は医師に問い合わせ(疑義照会)をします。

調剤で薬を取り揃える

監査をして問題がなかった場合、処方せんに記載された薬を取り揃えます。この調剤業務は将来AIに取って代わられる!とも言われています。わたしもそう思います。しかし、だからといって薬局薬剤師自体がAIに取って代わられるわけではない、とも思っています。さらにいうと、個人的には薬剤師業務へのAI参入は大賛成!AIに仕事を任せることで浮く時間を、患者さんに直接向き合う時間に割くことができるなら、薬を渡すだけでなくもっと深い部分に関われるのでは、と信じています。

「薬局薬剤師ってただ薬を揃える毎日なんでしょ、単調でつまんない。」
そう思う人も多いはず。そしてわたしもそう思ってた!
けど今のわたしには、「薬を渡すと同時に患者さんにきっかけを与えたい!」という思いがあるから、調剤業務も全然苦ではない。仕事内容ではなく、自分のビジョンに沿った仕事を見つけることってすごく大切。

服薬指導で薬の情報を伝える

服薬指導はひとことでいうと、薬の情報をお伝えすること。わたしは服薬「指導」という言葉があまり好きじゃない。「指導」ってなんだか上から目線で偉そう。わたしの中では、服薬「指導」というより服薬「説明」。

処方された薬について1日何回飲むのか、いつ飲むのかなどを説明します。患者さんと直接話せる貴重な時間。でも、「紙に書いてあるんだから、細かい説明はいらない!」って患者さんも多い。わたしが患者さんだった時も「説明はいらないから早く渡してほしい。」って切実に思っていた。

だからわたしは、患者さんが知らない情報を少しでも組み込むようにしている。せっかく説明を聞いてくださるのだから、患者さんが潜在的に欲しいと思っている情報を与えたいな、と思っている。例えば、学生さんだったら、副作用に眠気がある薬かどうかを伝えたり、ママさんに渡すときはお子さんが飲みやすいように何と混ぜたらいいかを伝えてあげたり。

薬がどう効くのか、新しい薬は何が出たのかっていう勉強よりも、薬を渡すときにプラスで伝えたいポイントを勉強する時間の方が楽しかったりします。

勤務時間は約8時間

勤務時間は薬局によって左右します。だいたい9時~10時に開局し、18~20時前後に終わる薬局が多いイメージ。患者さんがいる限りは薬局を閉めることができないので、いつも同じ時間に終わるとは限りません。残業の有無も薬局によるので、入社する前にきちんと確認しておくことが大切です。

病院薬剤師の業務内容


病院の中にある薬剤部で働いている薬剤師さん。病院の規模によって薬剤部にいる薬剤師数は大きく変化します。そのため、自分の求める薬剤部のイメージを先に決めておくのがいいと思います。主に入院患者さんの薬を扱うので、薬局では扱えない薬に多く触れることができます。

入院患者さんへ投薬を行う

病院薬剤師は主に入院患者さんの薬を扱っています。実際に薬を服用している患者さんの元に行って、状態を聞くことができるので、リアルタイムで患者さんの病状に沿った薬を出せるのは病院薬剤師ならではです。

注射剤の調剤ができる

注射剤の調剤には無菌の設備が整っている必要があるため、薬局薬剤師ではなかなか経験することはできません。せっかく病院実習で身につけた知識も実践しなければ忘れてしまいます…

他職種との連携業務

病院内にあるNST(栄養サポートチーム)などを通して、医師や看護師、栄養士の方などと連携しながら患者さんを支えることができます。薬局で働いていると薬剤師だけではどうしても補いきれない部分があり、他の職種との連携の必要性をひしひしと感じています。

勤務時間はライフスタイルに合わせやすい

病院によると思いますが、だいたい9時〜18時程度の勤務です。病院によっては当直もあります。しかし、スタッフが充実している病院ではママさん薬剤師さんがパートで働いていたりと、子育てしながらなどライフスタイルに合わせて働きやすい環境が整っていると感じました。

薬局薬剤師のメリット、デメリット

ここまで、薬局薬剤師と病院薬剤師の働き方の違いを紹介しましたが、実際に調剤薬局で働いてみてどんな部分にメリット、デメリットを感じているか具体的にまとめてみました。

<薬局薬剤師のメリット>

1、関わる薬の種類が多い

薬局にいると、毎日色々な病院の処方せんに触れることができます。どうしても近くの病院の処方せんが多くなってしまいますが。病院薬剤師の場合は、病院で採用されている薬にしか触れることができません。
転職する際には、薬局の周囲の病院について調べることも重要です。わたしは初めての薬剤師経験になるため幅広く色んな科の薬に触れたいと思い、目の前に病院があり、かつ周囲にも様々な科のクリニックがある薬局を選びました。

2、理想の薬局が絶対に見つかる

薬局の中には、漢方専門薬局や、在宅専門薬局、また、ある分野に特化した薬局もあります。そして薬局の店舗数はコンビニよりも多いです。( 厚生労働省 統計調査資料より)大手チェーン薬局がどうしても目立ってしまいますが、探そうと思えば自分のスキルアップや興味にマッチした薬局を絶対に見つけることができます。

私は「数年後、地方の僻地の薬局でも働いてみたい。」と考えています。その地方のおばあちゃんたちにお薬を渡して色々お話したいなあ、なんて。探せば絶対に見つかると今から信じています!

<薬局薬剤師のデメリット>

1、人間関係が狭い

薬局によっては自分以外のスタッフは、薬剤師1人、医療事務1人という場合もあります。そのため関わる人がとても狭くなることも。わたしも新卒の時は薬局のコミュニティの狭さに納得がいかず、色々な人の働き方をみたい!と思い、企業に就職しました。
しかし、出会う人の数は薬局に転職してからの方が断然多い!それに伴い、色んな働き方に触れることができています。結局、自分が行動するかどうかで決まる気がします。

「薬局は狭い、はただの言い訳。人間関係の狭さを薬局のせいにするな!!」(自戒)

2、雰囲気が薬局内のスタッフに左右される

人間関係の狭さを薬局のせいするな!といったばかりですが、やはり、狭いコミニティというのは事実です。そのため、人間関係は非常に重要です。
わたしは転職活動の際、「一緒に働く上司の人物像」も明確にしていました。
・薬剤師の仕事に誇りを持ち、毎日楽しみながら仕事をしている人
・利益よりも薬局がその地域に貢献することを重視している人
など。

転職活動を進める中で「キレイな思いを持っている薬局なんてないよ。みんな自分が生きるために働いているんだよ。」という嘘のようなホントのような言葉もいただきました。一瞬、薬局選びを妥協するしかない、と惑わされましたが、わたしは諦めずに面接を受け続けました。そして最終的には理想の上司で溢れている今の薬局を見つけることができました。
意識的には、面接「される」というよりは、わたしが理想の上司を求めて、面接「していた」といっても過言ではない。(何様だろう、社長ごめんなさい…!)
薬局を選ぶ際は、一緒に働く人の基準を明確にしたほうが充実感のある転職ができる!

3、患者さんとの付き合いが薄い

やはり病院薬剤師と比較すると、ひとりの患者さんと向き合う時間は圧倒的に少なくなります。3ヶ月ぶりに合う患者さんなども当たり前。健康だからこそ患者さんは薬局に来ないはずなのに、それはそれでなんだか少しさみしさもあったりという矛盾。
そして中には「薬局薬剤師は早く薬を渡してくれればいい。」と思っている患者さんも多いです。そのため、思うように体調変化などの踏み込んだ会話ができないときは、もどかしさを感じます。

4、休みが不定期

薬局は土曜日の午前中も開局していることが多いです。土曜日でなければ薬局に来れないサラリーマンや学生の方もいるので、土曜日は忙しい。そのため、土曜日に休みをもらうことはなかなか難しいです。
ちなみにわたしの休みは日曜と平日1日の週休2日制。一般的な連休は取りづらいです。でも、並ばずにカフェに入れたり、ゆっくりと買い物ができるのは平日休みの大きなメリット!

病院薬剤師のメリット、デメリット

<病院薬剤師のメリット>

1、患者さんに寄り添うことができる

患者さんに寄り添って支えることができるのは、病院薬剤師の特権だと思います。ガンの患者さんや終末期の患者さんなどは薬局薬剤師だとなかなか関わる機会がありません。わたしも自分が2人いたら、病院薬剤師もやってみたい!

2、チーム医療を実感できる

チーム医療を通して、医師、看護師、そして患者さんを含めての支えあいを実感しやすいのは病院薬剤師だと感じています。どうしても薬局にいる薬剤師だけではどうにもならないことを実感するときがあります。例えば、糖尿病の患者さんから「なかなか血糖値が下がらない。」という相談をしていただいても「バランスの良い食事をしてください、運動をしてください。」のような曖昧なアドバイスしかできなくて。薬局に管理栄養士さんがいたらいいのに~!と思うことも。病院には専門性を持ったスタッフが揃っています。チーム医療を通して、薬剤師だけでは成し得ないことができることから生まれる充実感を感じられるのは病院薬剤師のメリットといえます。

<病院薬剤師のデメリット>

1、夜勤がある

病院によっては夜勤があります。ときには1人で夜勤を担当することも。わたしは霊感は全くないけれど、深夜の病院は怖いと思ってしまうタイプ。また、夜勤が入るとどうしても毎日の生活リズムが不規則になってしまうこともあります。うまく適応できる人は病院薬剤師でもうまくやっていけると思います。

2、日常で関わる薬の種類が少ない

病院にはその病院で採用されている薬を多く扱うため、他の薬に触れる機会が少ないです。薬の知識量に関しては薬局では広く浅く、病院では狭く深く学ぶことができます。

3、病院薬剤師への転職は難しい

これはわたしの個人的なイメージですが、病院への転職ってなかなか見ない気がしています。特に大学付属病院などは、新卒薬剤師の場合や他の病院で一定の薬剤師経験を積んでいないと転職しにくいというイメージがあります。それに比べ、病院薬剤師から薬局薬剤師への転職はよく聞きます。
また、病院薬剤師は採用人数に制限があると同時に、採用時期も薬剤師枠に空きが出たら、というように不定期で公募がかかるイメージです。そのため、病院への転職は行きたい病院と自分のタイミング次第、という部分が大きいかなあと感じています。

薬局薬剤師に向いている人

わたしなりに、薬局薬剤師と病院薬剤師に向いている人の資質について考えてみました。完全なる個人的な意見なので、参考程度に。

料理が得意な人

薬剤師がなぜ料理?という感じですが、個人的には調剤業務と料理ってすごく似てる部分が多いと感じていて。薬局は患者さんが混む時間帯にムラがあります。患者さんが来るときは一気にくるし、全然こない時間は全然こない。めちゃくちゃ混んでいるときは、先にこの人の薬を出して、この人の薬を用意してる間に他の人の薬歴を書いて、と、全体像を掴んでから今すべきことを選ぶ必要があります。それは、料理するときの、この食材が煮える前にこの食材を切っておこう、という要領の良さとつながっていると思っています。偏見かもしれませんが、料理が得意な人の方が薬局内でも立ち振る舞いがうまい!

丁寧な暮らしを目指すひと

わたしは丁寧な暮らしを心がけている人は薬局薬剤師に向いていると思います。例えば、松浦弥太郎さんの著書に共感できる人とか。丁寧な暮らしって、毎日の繰り返しの中に、新しい当たり前を見つけることに重きを置いていますよね。
実際、薬局薬剤師の仕事は単調です。毎日薬局に通って、いつもと同じ空間で薬を渡す。表面だけ見るとそう見えてしまいます。しかし、その中で「今日は何の薬について調べてみようかな、今日は患者さんにこんな声がけをしてみようかな」と考えられる人にとっては、薬局業務が単調だからこそ、当たり前の中に充実感を感じられる場所です!

人の名前と顔を覚えられる人

患者さんの中には数ヶ月ぶりにいらっしゃる人もいます。久しぶりにいらっしゃったときに、顔と名前を覚えていたほうが患者さんに親近感を持っていただけるため、患者さんの困っていることや最近の病状について教えてもらいやすくなることも。
個人的には、薬剤師は医療界のホスト、と考えていて。何の薬を渡すかよりも、いかに患者さんに満足して帰ってもらえるか、いかに接客のプロになれるかにも重点を置きたい。

病院薬剤師に向いている人

ライフスタイルの変化に柔軟に対応できる人

病院勤務では夜勤があることも。そのため、生活リズムが不規則になることがあります。生活リズムの変化に柔軟に対応できて、かつ夜勤明けの時間を有意義に楽しむことができる人の方が病院薬剤師に向いていると思います。

自分の意見を主張できる人

病院には様々な職種の方がいるので、物怖じせずに自分の意見をはっきりと主張することができる人が向いています。薬剤師から治療方針の提案をする際に「この方向性がいいと思います!なぜなら〜」とこだわりを持って提案するのが得意なタイプの方が向いているのではと感じています。

わたしが薬局薬剤師を選んだ理由

わたしは新卒で企業に入りました。いざ入ってみて、自分の業務内容に徐々に疑問を抱き始め、4ヶ月で転職しました。転職する際に一番力を入れたのは、自分の価値観について見つめ直すこと。

特に
・自分が人生を通して達成したいこと
・自分の長所
を考えました。業務内容には全くこだわっていなかったです。

わたしは人生を通して、だれかのなにかのきっかけを広げたいなと思っています。薬局には薬局のきっかけの与え方があるし、病院薬剤師ならではのきっかけの与え方がある。だからこそ業務内容は何でもよかった。
そして次に考えたのは、自分の長所。わたしはひとことでいうと、「せっかち」なんです。いつかきっかけを与えられる、という仕事より、毎日たくさんの患者さんに会えてきっかけを与えられる薬局薬剤師になったら、仕事をしながら毎日夢を叶えられる!と思って薬局薬剤師を選びました。自分のやりたいことが毎日こんなに叶って良いものか!?と毎日感動しています。

まとめ

薬剤師の職種はとても幅広い。自分のビジョン、そして自分の長所にあった環境を見つけることがなにより重要です。そして、自分の理想とする環境は絶対に見つかります。わたしも納得のいく職場が見つかるまで面接を重ねました。あのとき、妥協せずに探し続けたことが、今の充実感に繋がっていると感じています。多くの人が自分にとって最高の職場を見つけられますように。

【紹介】わたしが登録した転職サイト↓